第6話

「ありゃま!入れかわっちゃった」


マリーランド、クーデター勃発。
星のかけらの力でバク君とヒヨコが入れ替わったのは大した問題ではなかった。
だが、大臣と王様が入れ替われば話は別だ。


労せずして権力者の地位を手に入れたドリアン大臣は、マリーランドをドリーランドへと改名。
国名に自身の名を刻み、さっそく虚栄心を満足させる。
一方、無駄な道路の建設を廃し、税金を減らすなど、実務面では切れ者の一面も。
さすがにマリーランド影の立役者は伊達ではない。
兵士達も王妃も、この生まれ変わった独裁者を諸手を挙げて歓迎した。
そう、独裁者とはいつだって、人々の支持を受けて登場するものなのだ。


更に魔法アイテムの所有者、クロミマイメロ一派を拘束、政治的理由から投獄することを決定。
無論、兵士達は冷酷に任務を遂行する。マイメロの投獄暦がまたひとつ増えた。これで前科何犯だろう。
が、マイメロ一派はすぐさま脱獄。
これに対し、ドリアン国王は国王の権力の源泉ともいうべき魔法の杖による暴力的弾圧を行った。
この圧倒的武力があるからこそ、あんなダメ象でも王様として君臨できていたのだ。
その後、ドリアン国王とマイメロ側との抗争は激しさを増し、王城は崩壊。
マリーランド全土が戦乱の危機に見舞われた。


だが危機はバク一族のバク十一朗による星のかけら発見で収束。
入れ替わりは戻り、ドリアンはボコボコに。
結局ドリアンは大臣見習いへ格下げとなり、再び象王が復権したのだった。


無能だがゆるやかな独裁者と、有能だが過激な独裁者。
マリーランド国民には、選択権すら無いのだ。
それにゆるやかと言っても、象王だってカキ君のレストランをいきなり襲撃したりしてたしなあ。
独裁国家の国民は、王のきまぐれを耐え忍ぶ以外に無いということか。