第32話

「ありゃま!パクくんモテモテ」


さらばモテ期、マイメロにもてあそばれし日々よ。


過去に男との結婚暦を持つバツ1・バク君の生涯に、3度訪れるというモテ期。
一度は乳児に、
一度はバイト先のおばさんに
そして最後はマイメロにモテて、結婚まで誓い愛の逃避行に走ったのだが。
所詮ははかない星屑の願い。
モテ期終了と共に、マイメロは只の知り合いへと戻ってしまった。
ああ見えてかつてのアイドルの娘だからなあ、マイメロは。
バク君としては、この先得難い縁談ではあった。
人間に例えると、一介の勤労青年が、松田聖子の娘に惚れられるようなものか。
……なんだか、いまひとつぱっとしない印象なのは何故だ。


しかし、なんだかんだできららにも信頼を得ているバク君だが、肝心の
マイメロママからの評価は厳しかった。
努力は認めるが結果が伴わないということか。
間違いなくワーキングプアレベルの収入しか無さそうだしなあ。
人望はあるのに、何故ああも経済的に困窮しているのか。
現代日本と重なるマリーランドの病巣が窺える。


そしてあの時代にもイケ麺は製造販売されていたらしい。
てっきりひつじさんが製造をしたものかと思っていたが、いつだかの
柊恵一コンサートで売ってたのは単に供給ルートをつかんだだけだったか。
地球とやりとりするルートは現在断絶中だから、マリーランドでは
それなりに貴重品になってそうだ。


……いや、待てよ。ひつじさん一族が製造販売していたからこそ、
地球ルート断絶状態でも入手できたという可能性はある。
歌ちゃん達とマイメロとの接触の一件以前から、柊恵一は
マリーランドのカップ麺好きに知られていたのかも知れない。